私たちの旅の一番の目的は、持続可能でエコロジカルな農的暮らしをしている人を訪ねること。今回はその第一弾、Spain MedinaceliにあるLa Nogueraプロジェクトを4泊5日で訪ねました。

このプロジェクトを知ったきっかけは、後日訪問するスペインの友達Estherからの紹介でした。
La Noguera の中心メンバーは6名。その中でもLuciaは中心的存在で、パートナーであるイタリア人のDarioと共にプロジェクトの概要を説明してくれました。

【場所の概要】
Medinaceliは、Madridからバスで北へ向かって約2時間、スペインの中央に位置しています。
バスから見える景色で印象的だったのは、とにかく空が広い!!!ということ。そして、乾燥しています。

山の上のMedinaceli旧市街は、標高1200mを超える場所に位置しており、1世紀から3世紀にかけて建造されたローマ門があることで知られる観光地になっています。La Nogueraのプロジェクトは、そこから山を下って約8km離れた村を拠点にしています。

集落には20〜30件の家が軒を連ねていますが、過疎化が深刻な問題で、現在定住しているのは7名のみ(4年前にプロジェクトを本格的に始めたころは、LuciaとDarioの2人だけだったとのこと)。 古くからこの集落に住んでいた人は、今は別の場所に移り住んでいて、週末や夏の間だけ村に戻って畑作業などを行っているそうです。

土地が乾燥しているため、古くはシリアルの栽培を行う畑が広がっていたとのこと。

村の上方にはシンボリックな岩山があり、そこから湧き水が流れてきていて、La Nogueraの畑を潤してくれます。乾燥した土地を美しい水が流れる光景は、なんだか感動的です!

【プロジェクトの概要】

MedinaceliはLuciaの出身地で、La NogueraはLuciaを中心とする6名が4年前(2012年頃)に集まって立ち上げました。

La Nogueraが掲げている目標は、”Comprehensive rural development(訳すると、包括的な農村地域の発展)。つまり、自分たちだけで完結する”農的暮らし” や “エコな暮らし” に留まるのではなく、地域に関わる様々な人々を巻き込んで、新たな出会いを生み出し、今まで築いてきた文化、環境、社会、経済等をさらに豊かに、持続可能なものにすることを目指しています。

そのための3本柱として、「Sustainable Farming(持続可能な農(オーガニック野菜)」と「Local Culture(ワークショップや学生への農業体験、エコガイドツアーの実施等)」と「Rural Development(地域内でのネットワーク作り、コラボレーション)」を掲げています。

【具体的な取り組み】

La Nogueraが活気づくのは夏の間。毎年、「Europe Volunteer」のサイトを通して応募してきた3〜4名のボランティアが半年間滞在し、プロジェクトの運営を支えます。
今回、行動を共にさせてもらったフランス人のMarionも、去年に引き続き今年の夏も長期滞在するボランティアの一人。

夏の間は、ボランティア以外にも、毎日平均20名程度の学生が村に滞在し、教育プログラムなどを受けるそうです。

村にはコミュニティバーがあり、誰でも出入り可能です。誰でも好きな時にOPENさせて、各自飲んだ分だけお金を置いていく。そしてお酒のストックがなくなりそうになると、コミュニティ内の人が誰ともなく発注して、お店に置いてあるお金で支払いを済ませる。そんな気軽で楽しいスペースがあります。

夏には広場でピザを焼いたりBBQしたり、楽しい雰囲気に自然と人が集まりそうです!!

Medinaceliの旧市街には、Luciaの両親が経営するレストランがあり、夏の間はLa Nogueraの畑でとれたオーガニック野菜を供給しています。

レストランではメニューに「提供している野菜は地産地消のオーガニック野菜です」「希望すれば畑を訪問できます」等の説明書きを載せることで、プロジェクトの広報活動の一端を担っています。
また、レストランから出た残飯は鶏とグースの餌になっており、ここで地域内の小さな循環が完結しています。
旧市街の周辺住民にもこの<レストラン⇔畑>の関係は広く周知されているそうで、La Nogueraが主催する様々な取り組みには、多くの住民が関わるようになっているそうです。(事実、Luciaは街を歩けば、色々な人と挨拶を交わしていた。顔が広い!!)

6〜11月は、La Nogueraのメンバー&ボランティア+約20名の滞在者+レストランへ提供する野菜を100%自給できるというから驚きです!!
冬季は収穫できる野菜も減ると同時に、長期滞在のボランティアもおらず、観光客も減るため、レストランも休業します。1年を通して、とてもメリハリがありますね。

滞在中に予定されていたBio Constructionのワークショップは、残念ながら天気予報が雨だったために中止になりましたが、ここで開催される様々なワークショップにはMedinaceliやその近郊エリアから人が集まるそうです。
【滞在中の出来事】

グリーンハウスの準備:

毎年、グリーンハウス(温室)の場所を少しずつ移動させているそうです。滞在中、グリーンハウスにビニールを張る作業をお手伝い。スチールの骨組みをビニールのカバーで覆ったとたん、ハウスの中の気温が外よりも温かくなっていくのを感じます。ハウス内には、壊れた冷蔵庫(保温性が高い)を利用して、トマトとピーマンの苗が育てられていました。


玉ねぎと人参の種まき:

畑の土が粘土質なため、人参が下に向かって成長できず、昨年は小ぶりのものしか取れなかったとのこと。今年は畝を作った後に軟らかい土を加えてやってから種まき。Mizukiも一生懸命お手伝い!

畑には柵等がなかったので、獣害の有無を聞いてみると、年に1〜2度ある程度とのこと。獣の種類はキツネやイノシシとのことです。日本ほど深刻ではないのかな。

ローズマリーの水挿し:

畑には北側から強い風が吹くため、ローズマリーの株を増やして防風壁にしたいとのこと。

ローズマリーは、水挿しで増やすことに向いているそう。防風壁が完成するのは3年後くらいかな。この土地が年々豊かになる姿を見てみたいなぁ。
鶏とグースの餌やり&卵ひろい:
身体の大きなグースは、ちょうど産卵期でアグレッシブになっている時期とのこと。私たちが近寄るとガァーっと大きな口を開けて威嚇されました。初めて見るグースの卵は大きくて、殻も硬くて、とても立派!! 卵焼きにするとその大きさは明らかで、グリとグラの物語を思い出します(笑)味は、黄身が濃厚でとってもおいしい!! 写真を撮り忘れてしまったけれど、道端で摘んだ野草を入れたオムレツも美味です。自然からの恵み、うーん贅沢。



【ひと言】

La Nogueraのプロジェクトは、自分たちのエコな生活を成り立たせることに留まることなく、地域の再生を目指して活動を続けていることにとても魅力を感じました。毎年La Nogueraが活気づく夏の時期にもまた訪問したいなぁと思いました!!